~物価は上がっているのに、実際の買い物は減っている?~
2025年1月10日、総務省統計局が公表した2024年11月分の消費動向指数(CTI)によると、お店での値段(物価)が上がったため、支払う金額は増えているものの、実際に買える量は減っているという結果が出ました。特に、食べ物への出費が増える一方で、服や靴への支出は減っており、家計が必要不可欠なものを優先している様子が分かります。この最新データから、私たちの暮らしがどのように変化しているのか、詳しく見ていきましょう。
消費動向指数って何?数字で見る私たちの買い物
消費動向指数は、私たちの日々の買い物がどのくらい活発かを示す大切な指標です。この指数には二つの見方があります。一つは実際に支払ったお金の額(名目値)で、もう一つは物価の変動を考慮して実際に買えた量(実質値)です。2020年を100として比べると、2024年11月は支払った金額が105.9と増えているのに、実際に買えた量は94.8と減っているのです。これは、同じものを買うのにより多くのお金が必要になっているということを意味します。例えば、去年1000円で買えていたお弁当が、今年は1100円になっているような状況です。
家計の中身を覗いてみると
実は、一人暮らしの人と家族で暮らす人では、買い物の傾向に大きな違いがあることが分かってきました。一人暮らしの人の実質値は102.7と、二人以上の世帯の97.2を上回っています。これは、一人暮らしの方が外食や趣味にお金を使う機会が多いためかもしれません。また、買い物の内容を見ると、食料品への支出が4.2%も増加している一方で、服や靴への支出は5.1%も減少しています。これは、家計が「必要なもの」と「あったら良いもの」をはっきりと区別して、支出を管理している証拠と言えるでしょう。


なぜこうなった?私たちの暮らしの変化
この変化の背景には、いくつかの要因があります。まず、食品やエネルギー(電気・ガスなど)の価格が大きく上昇していることが挙げられます。また、コロナ禍を経て、私たちの生活様式自体が変化したことも影響しています。例えば、オンラインショッピングの利用が増え、必要なものを必要な分だけ購入する傾向が強まりました。
さらに、娯楽の形も変化し、高額な外出を伴う娯楽よりも、動画配信サービスやゲームなど、家で楽しめる娯楽にお金を使う人が増えています。
これからどうなる?未来の家計を考える
今後の展望としては、いくつかの明るい兆しも見えています。例えば、観光需要の回復により、飲食店や小売店での消費が増加する可能性があります。また、多くの企業で賃金上昇の動きが出始めており、これが実質的な購買力の回復につながることが期待されています。デジタル関連の消費も着実に伸びており、新しい形の消費市場が生まれつつあります。
しかし、同時に私たちは、より賢い消費の仕方を身につける必要があるでしょう。例えば、食品のまとめ買いやポイント還元の活用、省エネ対策など、様々な工夫が求められています。特に若い世代にとっては、将来の生活設計を考える上で、このような消費動向を理解することが重要です。
家計調査などの他の統計でも、外食やレジャーへの支出が減少していることが確認されており、多くの人が支出を工夫して生活していることが分かります。これは、決して悪いことばかりではありません。必要なものを見極め、計画的に消費することは、持続可能な生活を送る上で大切なスキルとなるからです。
このように消費動向指数は、単なる数字の羅列ではなく、私たちの暮らしの実態を映し出す鏡のような役割を果たしています。物価上昇が続く中、賢い消費者になることは、私たち一人一人の課題と言えるでしょう。そして、この状況を理解し、適切な対策を取ることが、より豊かな生活につながる第一歩となるはずです。


詳細なデータやさらなる分析については、総務省の公式サイトをご参照ください。