📘 事例Ⅱ対策

老舗醤油店のV字回復に学ぶ、
中小企業が勝つための「4P」と「SNS活用術」

中小企業診断士二次試験、特に「事例Ⅱ(マーケティング・流通)」に挑む受験生の皆さん、日々お疲れ様です。事例Ⅱを攻略するカギは、与えられた経営資源(リソース)をいかに活用し、ターゲットのニーズに合致した「差別化」を行うかに尽きます。

今回は、BSテレ東『グロースの翼』で紹介された島根県松江市の「安本産業」の事例を深掘りします。明治18年創業の老舗がいかにして「醤油離れ」という構造的赤字を脱し、売上を15倍にしたのか。その軌跡には、二次試験の記述でそのまま使えるエッセンスが凝縮されています。


1 強みを活かした「新商品開発」のプロセス — SWOT分析

安本産業の8代目・安本さんは、就任当時「このままだと朽ちていく未来しかない」という強烈な危機感を持っていました。

💪 強み(Strength)
長年培った醤油製造技術、直接配達で培った顧客との距離の近さ。
⚠️ 弱み(Weakness)
醤油市場の縮小、市場調査予算の欠如、低い知名度。
🌱 機会(Opportunity)
燻製ブームの予兆、コロナ禍による「中食」需要の拡大、SNSの普及。
🔥 脅威(Threat)
大手メーカーとの価格競争、食生活の多様化(醤油離れ)。

安本さんが選んだのは、弱みを補う「改良」ではなく、強みを昇華させた「世の中にない新商品の開発」でした。それが2014年発売の「燻製醤油」です。

2 ターゲットの「不」を解消する独自製法 — 差別化戦略

事例Ⅱの頻出パターンに「競合他社との差別化」があります。安本産業は、水槽のエアレーションのような独自製法で「醤油そのものに煙を閉じ込める」ことに成功しました。

💡 バイヤーの声から生まれた「燻製ナッツドレッシング」
「燻製は好きだが、自分でやるのは面倒」という消費者の潜在ニーズ(インサイト)に対し、「かけるだけでゴージャスなサラダになる」という価値を提供しました。
これは「製品(Product)」の差別化であり、同時に「利用シーン(Occasion)」の提案でもあります。
3 SNSを起点とした「共感型」の拡散 — プロモーション

安本産業のブレイクポイントは2020年のX(旧Twitter)でした。ここで受験生の皆さんに注目してほしいのは、単に「広告を出した」わけではない点です。

🐦 バズの原動力は「ストーリー性」
「フォロワー40人でバズってると勘違いした上司」という、中小企業ならではの温かみとユーモアを投稿したことが共感を呼びました。
これが事例Ⅱで言うところの「双方向のコミュニケーション」と「ブランドロイヤルティの向上」に繋がります。

結果として、1時間で19,287本というギネス世界記録を樹立。この実績が信頼(エビデンス)となり、棚割(Place)の確保において強力な武器となりました。

4 大胆なドメインの再定義 — 売上構成の変化

注目すべきは、現在の売上比率です。

醤油 3%
ドレッシング 97%

伝統を守りつつも、収益の柱をドレッシングへ大胆にシフトさせました。これは「醤油メーカー」から「燻製技術を核とした調味料メーカー」へとドメインを再定義した好例と言えます。


✏️ 実践編|事例Ⅱ風・記述トレーニング

📝 設問
B社(安本産業)は、市場縮小が続く醤油事業から脱却するため、新商品「燻製ナッツドレッシング」の販路拡大を計画している。SNSを活用したプロモーションと、実店舗での販売を成功させるための具体的な施策を80字以内で助言せよ。
✅ 答案記載例
施策は、①Xで開発秘話やギネス記録等のストーリーを発信し共感を醸成、認知度を高める。②店頭ではSNSの反響をPOPで訴求し、試食販売等で燻製の風味を伝え購入を促す。(80文字)

📌 まとめ:事例Ⅱを解くための「安本産業的思考」

1 現場(バイヤー・顧客)の声を商品開発の起点にする。
2 中小企業の「弱み」を「面白さ(ストーリー)」に変えてSNSで発信する。
3 自社で「擬似的な売場」を作り、徹底した消費者目線でパッケージや陳列を検証する。

安本さんは現在、2030年の売上5億円、そして「従業員の給料を日本一にする」という目標を掲げています。これは「インターナルマーケティング(従業員の満足度向上)」の視点からも重要です。

二次試験まであと少し。
安本産業のような「逆転のシナリオ」を、
皆さんの解答用紙の上でも描き出してください!

やすもと醤油
やすもと醤油|安本産業株式会社|燻製調味料
島根県松江市の老舗醤油蔵。明治18年創業。独自の燻製技術を活かした「くんせいナッツドレッシング」をはじめとする燻製調味料を製造・販売。
www.yasumoto-kk.jp
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