「ゆるコンピュータ科学ラジオ」の熱量に当てられ、気づけば手に取っていた一冊。
1991年発刊、52刷。もはや「古典」の域にありながら、中身は驚くほどに「今、私たちが向き合うべき人間関係」の本質を突いていました。

エンジニアのみならず、組織で生きる全ビジネスパーソン、特に酸いも甘いも噛み分けた50代の心にこそ刺さる名著、ジェラルド・M・ワインバーグの『スーパーエンジニアへの道』をレビューします。

🔧 技術の壁は「人間」の壁だった

この本の原題は『Becoming a Technical Leader』
しかし、読み進めていくうちに気づかされます。これは技術習得のガイドではなく、「どうすれば、まともで成熟した人間になれるか」を説いた人間学の書であることに。

特に印象的だった3つの視点を、ブログ風にまとめました。

① 「人をなめない」という覚悟

本書には「体臭のきついプログラマーにどう対処するか」という、あまりにも生々しい事例が登場します。
多くの人は「傷つけるから」「関係が悪くなるから」と沈黙を選びますが、著者のワインバーグはこれを一蹴します。

「指摘しないのは、相手をなめている証拠だ」

相手を「真実を伝えても立ち直れない弱い存在」だと決めつけることこそが、最大の不遜である。相手の自尊心と回復力を信じてこそ、リーダーの誠実さは成立する。
この考え方は、エンジニアの世界だけでなく、あらゆるマネジメントの現場で求められる「信頼の根幹」ではないでしょうか。

② 「静かな貢献」を見抜く眼

会議で100回発言する派手な「アーニー」と、最後にボソッと正解を言う「マーサ」。
私たちはつい、声の大きいアーニーを「リーダーらしい」と評価してしまいがちです。

しかし、真に技術的な壁を突破し、チームを前進させたのは誰か?
リーダーシップとは、単に仕切ることではなく、「人々が力を発揮できる環境を作ること」。時には、あえて「何もしない」「そっとしておく」という高度な判断が必要になります。この「評価の解像度」を上げることこそ、ベテラン層が磨くべきスキルだと痛感しました。

③ 自分を客観視する「日記」の魔法

最強の処方箋として紹介されているのが、意外にも「毎日日記を書くこと」です。
ベテランになればなるほど、自分の成功体験に固執し、変化を拒むようになります(ワインバーグ自身も、かつて新型機の導入を拒んだ過去を告白しています)。

  • 自分が何に腹を立てたのか?
  • なぜ新しい技術を「使えない」と否定したのか?

これらを記録し、後で読み返す。すると、「あぁ、自分は今、変化を怖がっているだけだな」という自分自身の「変化への抵抗感」を客観視できるようになります。

🌍 エンジニアの資質 = 社会の資質

本書を読んで確信したのは、「優れたエンジニアの資質」と「良き社会人の資質」は、驚くほど高いレベルで共通しているということです。

コードの不具合(バグ)に向き合う謙虚さと、人間の不完全さに向き合う寛容さ。
システムを最適化する論理思考と、組織を円滑にする対話術。
これらは別物ではなく、同じ根っこから生えた枝葉なのです。

📘 50歳、これからの20年のために

50歳という節目に立ち、これからのキャリアを考えたとき、必要なのは最新のIT用語を暗記することではありません。
「いかにして、他者を信頼し、自分を律する成熟した人間になれるか」

本書は、技術という窓を通して、その普遍的な真理を教えてくれます。
一度読んで終わりにするには、あまりにも勿体ない。
迷ったとき、傲慢になりそうなとき、そして変化に臆しそうになったとき。
枕元に置いて、何度も読み返したい「人生のデバッグ本」に出会えました。

✍️ 次の一歩として、まずは今日から一言でも「日記」をつけてみませんか?

もしよろしければ、あなたが今「変化」に対して感じている小さな抵抗感を
コメント欄で言語化してみてください。

📚 今回紹介した本

『スーパーエンジニアへの道 ― 技術リーダーシップの人間学』
ジェラルド・M・ワインバーグ(著)/木村 泉(訳)

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